弊社のカラー剤「クリエイティブフェリエネオ」の一部商品には沖縄県宮古島産のアロエベラから抽出されるアロエエキスが使用されており、この成分を使用する事で宮古島のサンゴ保全活動に貢献しています。

今回、私タマリス東京販売の田村が、東京都渋谷区の北参道駅すぐにお店を構えられているヘアサロンkitsukiの代表、竹澤氏とともに支援先であるNPO法人宮古島海の環境ネットワーク様にお伺いし、お話を聞かせていただきました。

環境問題への取り組みを行っている団体の方々は、どういった思いで活動されているのか。

ご担当者の春川京子氏に活動の詳細や、サンゴの現状、今後の課題についてお話いただきました。

 

■課題を自分事として感じてもらう活動を

(田村)サンゴの保護活動とは具体的に何を行われているのでしょうか。

(春川)私たちの団体は2012年に発足し、主に三つの事業を行っています。

一つ目は海岸清掃です。

新聞広告やSNSで共に清掃してくださる方を募集し、月に一回ゴミが多い海岸を選んで活動しています。

一時間ちょっとで大体45Lのゴミ袋が100~200袋程集まります。プラスチックやペットボトル等のゴミが主ですが、海に囲まれているため漁業用の網なども多くみられます。

二つ目は環境教育です。

環境教育は宮古島にある小中学校や、修学旅行で来る方々、また企業の方々への観察プログラムを行っています。実際にマングローブを観察したり、漂流ごみに関するワークショップなどを通じて現状を周知してもらう活動を行っています。

三つ目は海洋調査です。

海洋調査とは、サンゴの調査です。ダイビングの機材を使い海へ潜り、毎回同じ場所でサンゴの地質や状態、生きているかどうかを定点観測します。また、周辺にいる生き物の数を数えるという世界共通分類の調査を行っています。これにより海中の現状がどうなっているかを確認しています。

私たちが目指すのは一方的な抗議ではなく、皆様に体験してもらうことを大切にしています。悪天候で海へ行けない場合も室内でワークショップを行い、アクティビティ体験をすることで、個人が海ゴミや海の環境について考えるきっかけを作る事が出来ればと思っています。

 

■サンゴの死滅が進んでいる

(田村)ここ数年でサンゴの状態はどのように変化しているのでしょうか?

(春川)ビーチから入ってすぐのサンゴが15年間で10分の1ほどに減少しているとの報告があります。このような状況は本当に心配です。

サンゴが減少した原因についてははっきりと言えないものの、人が入るエリアのサンゴが主に減っていることから、誤って踏んでしまうことが一因と考えられます。

また、日焼け止めなどを使用しての入水もサンゴに悪影響を及ぼす可能性があり、そのような要因も考慮されるでしょう。

 

さらにサンゴは動物であり、病気にもかかります。水温が上昇しすぎることで白化して死滅してしまうことが最近増えているのです。

復活したくても、人々が訪れて踏みつけてしまうためにその状況を立て直すことが難しい。

これら多くの要因が重なり、サンゴの数がかなり減少してしまったという事実は深刻な状況です。

 

加えて、海に多くのゴミが漂着しています。ゴミはサンゴだけでなく、さまざまな生き物に悪影響を及ぼしています。

特にプラスチックや発泡スチロールは有害物質を吸着しやすいため、目に見えない小さな粒子や微細な破片が海に溶け出し、生物がそれを食べてしまうことで生態系に悪影響を及ぼす可能性が高まります。

漂流してくるゴミは風向きによって影響を受け、周辺地域や他国からもたらされることがあります。

特にプラスチック製品の多くは中国や韓国などで生産されており、これらの国々が大量のプラスチックゴミを生み出していることが指摘されています。

しかし一国だけが問題ではなく、他の国では主に日本のゴミが漂着しているとの指摘もあります。このような状況を改善するためには、各国は元より、私たち一人ひとりの行動が重要だと感じます。

 

■地元の人も知らないため広まりにくい

(田村)そんな状態なんですね… 島のみなさまはサンゴの現状をご存知なのでしょうか?

(春川)宮古島のように、海に関わる文化があまり根付いていない地域では、海洋環境やサンゴ礁の状況について知識が不足していることはよくあることです。

また、女性や泳げない人は海に入らないという制約もあり、そのために海洋環境についての理解が広がりにくいのも理解できます。

しかし、子供たちに環境教育を通じて海洋保護やサンゴの大切さを理解してもらう取り組みは非常に意義深いものです。子供たちが親や祖父母に伝えることで、地域全体の意識が変わる可能性も高まります。

大人の方の意識を変えることは難しいと感じられるかもしれませんが、子供たちによる啓発や家族や地域社会での共有が、より広範囲での意識変革につながることを期待できるのかなと。

地域の子供たちが海洋環境について学び、その重要性を実感することで、宮古島全体の問題意識が高まると思います。

 

■まずは周知してもらいたい

(田村)島全体で対策していると思っていました。保全活動が必要な理由は、島の住民に周知されてないことも大きいですね。

(春川)そうですね。保全活動が進むためには、周知活動が非常に重要です。

また地元の人々だけでなく、観光客や観光業者に対しても海洋環境やサンゴの重要性を広めることは、持続可能な環境保護のために欠かせません。

海は楽しい場所であり、美しい自然の恵みを受ける場所ですが、同時に儚い存在でもあります。それを理解してもらうことで、自然環境への尊重や配慮が広まります。

特に観光客の方々には、事前にサンゴや自然についての情報を提供し、その大切さを知ってもらうことで、お互いにとって居心地の良い宮古島を保てると感じています。

 

(田村)そんなサンゴはどんな役割をし、島の方にとってどんな存在なのでしょうか?

(春川)宮古島はサンゴでできている島です。

沖縄の中でも、石垣や西表は元々島があり、そこにサンゴが存在しています。

一方で、宮古島はサンゴが隆起して全体が構成されています。このため、サンゴがなければ島も存在しないと言えるでしょう。

また、サンゴは波から守る役割も果たしています。もし失われてしまうと、津波が直接来なくても、島が波によって削られる可能性が高まってしまうでしょう。

さらに、サンゴは多くの生物の生息地として機能しており、魚などがその周辺に集まります。これによって私たちは食べるものを手に入れたり、さまざまな恵みを受け取っています。

このように、サンゴは私たちの生活を支え、私たちを守る存在となっています。島国にとって、サンゴはなくてはならない存在だと思います。

 

■美容業界で取り組めること

(竹澤)現状はカラー剤を通じて保全活動の資金面サポートを行っていますが、それ以外に美容業界で力になれることは何かありますか?

(春川)もし美容室に来られたお客様との会話の中にサンゴや宮古島の話題が出ましたら、少しでもいいのでお話してもらえたら嬉しいです。お客様との間に信頼関係がありますから、記憶にも残りやすいかと思います。お客様にとって美容師さんは信頼のおける存在であり、その声を大切にしてくれるはずです。

私たちも美容師さんたちに情報提供する機会を持つことは、多くの人々にサンゴの重要性を知ってもらうために非常に効果的な方法だと考えています。

社員旅行などの機会を利用して、宮古島のサンゴ保護活動やその現状について体験や情報を提供することで興味を持ってもらえるかなと思います。

お時間が許しましたらぜひ見学や体験をしていただきたいと思います。

何よりも宮古島を楽しんで好きでいて欲しいですね。

(田村)たしかに沖縄が好きな美容師さんはとても多いので、遊びに来るだけでなく何か知識を得て帰ってもらうのも良さそうです。そんな機会を作るのもメーカーの仕事の一つかもしれません。

(竹澤)そうやって徐々に広めて、こういうことをするのが美容師のスタンダードになれば周知も広がるのではないでしょうか。

(春川)そうだと思います。何かをきっかけに現場を知ってもらえるよう私たちも活動を続けていこうと思っています。

 

今回、NPO法人宮古島海の環境ネットワーク春川様から貴重なお話を聞けたことで、宮古島の環境保護やサンゴに対する理解が深まりました。

自分たちのできる範囲から活動を始めることで、地球環境への貢献が可能です。

周囲の人々にもサンゴの重要性や環境保護の必要性を伝え、広めていくことで、より多くの人々の意識が高まることを期待しています。

 

NPO法人宮古島海の環境ネットワークHP

https://econet.jpn.org/