読みもの

【読みもの⑤】髪型の正解は好みの数だけある

 

「髪型が決まらないと一日気分が上がらない…」誰もが経験あることで、本当その通りだなーと感じます。

それだけ、ヘアスタイルが与える影響は大きくいつも好みの状態でいられたら最高だよなと。(雨の日よりも晴れの日がいい理由のひとつは髪がまとまりやすいからに違いない)

それは大前提ある中で、そこに固執してしまうと逆に苦しんでしまう気がしています。ベストな状態でないといけないと追い込んでしまい、気分を上げる日を減らしてしまっている。

髪型はあくまで自己表現のひとつで楽しむもの。完璧でい続けられればいいけれど、現実的に難しい。(日本は暑いし湿度も高いし台風もくれば雪も降る、そんな髪型を維持するには難しい国なのです…)

だから、ベストもいいけどベターでも、なんならノーマルでもいいんじゃないと思えたら、気分は上がりやすいし、ヘアスタイルを楽しむ気持ちも強くなっていいと思います。

 

外はねボブが流行るなんて思わなかった

10年前の髪型を知る人はまさか毛先をはねさせるボブがこんなに流行るなんて考えもしなかったのではないでしょうか。

ボブといえば内巻き。外にはねるなんて手入れをしていない証拠。僕が学んだ美容室ではカットが下手だと烙印を押されてしまうほど、【はね=NG】の風潮がとにかく強かった。

なのでその時ボブの正解は内巻きになること。これ以外は考えられないくらいでした。

でも、今はどうでしょう。肩に当たってはねるラフさや、アイロンでわざとはねさせることがオシャレになっています。

もちろん内巻きも人気だし、外はねもあり。以前よりも正解が増えたため、こうじゃなきゃダメという考えが緩和されました。

これはどの髪型にもいえることで、今は昔より思っているより正解がたくさんあります。周りを見渡せばいろんな髪型の人がいる。

自分はこうと思っていることも、ちょっと崩しても問題ないことが多い。正解をひとつにしてしまっているのは思い込みの要素が強いのかなと思います。

 

これはこれでいいじゃないかと思えたら強い

いつもよりうねりが出る、ボリュームが出る、巻いてもとれる、そんなベストを保てない日も必ずあります。

でもそれを「これはこれでオシャレな感じがする」と思えたら、気分が上がるほどではないけれど下がることもないはずです。

自分ではいまいちと思ったまとめ髪が好評だったり、くせが出たらパーマをかけたのと聞かれたり、周りからみたらいいじゃんなんてことは多いです。

そんな周りの意見をすくって自信をつけていくと、正解の幅が広がり固定概念がすぅーっと減っていきます。

それを叶えるには髪質や雰囲気をバランスよく見せる技術と感性が必要です。考えの幅を広げてもらうためにそんなデザインを提供したい。そんな風に思います。

 

もうひとつのデザインを提案する

考えの幅を広げるために、オーダーされた髪型以外にもうひとつご提案するようにしています。

それはやった方がいいよという提案ではなく、担当者の考えをお伝えしこんな髪型もあるんだと気づいてもらうものです。

海といえば沖縄という人に、下田もいいし南紀白浜もいい、同じ海でもこんな違う魅力があるよと、お伝えするイメージです。

決めるのはゲストなので無理強いもしません。ただ、自分たちの考えはお伝えしています。違う目線から似合う髪型を提案する。それが美容師の本質だと考えているからです。

自分では気づけない髪型になることで、新しい価値観が生まれて固定概念もやわらいでいく。それを積み重ね正解が増えていけばいいですね。

レコメンドだらけの中で何ができるか

YouTubeにしろSNSにしろ広告にしろ、レコメンドの機能が強く似たような情報に囲まれます。

ヘアスタイルを調べても同じ雰囲気の似たようなものが出てくるので、良くも悪くも新しいものや興味がわかないものに触れる機会が少なくなっているなと感じます。

なので、意識して探さない限りどうしても考え方の幅が狭くなってしまう。

好みや気分は変わるもので、それに合わせていくのが髪型の楽しみのひとつ。その人が無意識に気づけなくなっている部分を客観的な視点から提案する。そんなことが必要なんだと思います。